• Dr. Feelgood 'Malpractice'

  
先日、図書館(宮崎貴士さんのバンドではありません)で借りてきて読んだ「パブ・ロック革命」(どうやら絶版)は非常に面白い本でした。エルヴィス・コステロの始まりがパンクで、このドクター・フィールグッドがあって、イアン・デューリーがいて、ダムドやスティッフ・レーベルがあって、ブリンズリー・シュワルツ(ニック・ロウのいた)やチリウィリ&レッド・ホット・ペッパーズ(スネークフィンガーがいた)があって、ていう話はちょっとロックの歴史をかじれば知ってることだけど、ここまで抱腹絶倒な話があるというのは、正直引き込まれあっという間に読了した。パンク前夜の胎動が生々しい。スティッフのジェイク・リヴィエラによる、いかさま同然の宣伝戦略は特に可笑しい。ニック・ロウにベイシティ・ローラーズ讃歌を書かせたというのはよく知られているが、その他にも、機知に富んだレーベルのキャッチ・コピーが可笑しくもかっこいい。特に後者は、レコードの回転数と計算がぴったり合うことに笑った。

"When You Kill Time, You Murder Success"(ひまつぶしは成功を殺す)
"In '78 everyone born in '45 will be 33-1/3"(78年には45年にうまれた人は33と1/3才になる)

スティッフといえば、レコードの内袋にレーベルが推薦する聴いた方がいいレコードのリストがジャケット写真つきで印刷してあったことで知られている。それはスティッフからのものにこだわらず、音楽性もまちまちで、そこにニック・ドレイクの「ファイヴ・リーヴス・レフト」が紹介されていたというのもよく知られた話。デイヴィッド・ボウイ(David Bowie)のLP「ロウ」(Low)が発売されたあとニック・ロウNick Lowe)が「ボウイ」(Bowi)というEPを発売した、とか。

シンコーミュージックさん増刷、もしくは復刊お願いします。
 
で、邦題「不正療法」。1曲目のボ・ディドリーの「I can tell」(FRICTIONのじゃない)から、リズム隊のアンサンブルは、ずっしりと重く、ウィルコ・ジョンソンのギターはブルドーザーみたいに前進する。ポール・ウェラーがウィルコの大ファンだったというのはよく知られた話。最近はこういう骨太ロックをよく聴いてる。
 
パブ・ロック革命―ニック・ロウ/エルヴィス・コステロ/ドクター・フィールグッドらのロックンロール・デイズMalpractice