ブルー・マスク(紙ジャケット仕様)
Lou Reed "Blue Mask"
 
 

 
Average Guy
 
俺はクリスチャンでもなんとか教信者でもない
カウボーイでもマルキストでもないし
犯罪者でも右翼でもない
俺はただ正しくあろうとしている平均的な男
 
平均的な男
普通の男
どうといったところのない
どこにでもいそうな男
 
平均的な男 俺は普通の男
平均的な外見に平均的な内面
平均的な彼女に普通に狭い家に住んでる
面付き合わしても俺のことなんて誰も知らない
 
平均的な男
普通の男
どうといったところのない
どこにでもいそうな男
 
金や税金とかそんなものを心配し
脾臓に異影が写っていることにビクビクしながら
人間ドックの結果にちょっとほっとしたり
ガキどもの犯罪を恐れたりしている
自分でなんとかやっていこうとしている
ほんとただの平均的な男
 
平均的な男
普通の男
どうってことない男
とるにたらない男
 
平均的な容姿 平均的な味覚
平均的な身長 平均的な体重
やることなすこと平均点
ついでに平熱は36度だ
 
俺はきみの平均的な男
俺はきみの普通の男
俺はきみのどうってことない男
俺はきみのとるにたらない男
  

 
ルー・リードは一生懸命「自分は平均的である」と歌っているが、平均的であると思えるということはすごいことだなぁ、と思う。なかなかそう思えるものではない。もちろん自嘲気味に「自分はダメだ」といったところでイヤミになってしまってはいけない。
 
というわけで、週末に大阪の国立国際美術館の藤本由紀夫「+/-」展をようやく見てきた。もうひとつの目的は田辺市美術館の「森のなかで」という展覧会を見ること。新大阪から和歌山を通って、紀伊田辺まで行ってきた。国際美術館では、藤本さんのトークもあり、ご本人ともようやくお会いすることができた。
藤本さんは今回の作品について、自分ではなにひとつ作っていない、という。既成の音楽に、既製の機材を使用しているだけだ、と。それは今回のトークが、以前藤本さんの作品について、「ただ置いただけ」と評されたことをきっかけに始まったことと関係している。もちろん誰かがなにかを「ただ置いただけ」で作品として成立するのか、ということを考えれば逆説的にいかにそれが「ただ置いただけ」ではないか、ということがわかる。